ビクセン | 天体望遠鏡、双眼鏡を取り扱う総合光学機器メーカー
特設ページ
2022.08.25
〇準備編
・ 赤道儀選び
・ 撮影天体選び
〇実践編 <機材準備~天体撮影>
・ 天体望遠鏡の設置
・ カメラの設定
・ 画像処理編
〇ギャラリー
FL55SS鏡筒はフローライトレンズを搭載した、たいへんコンパクトなフォトビジュアル鏡筒です。専用フラットナー・レデューサーレンズの併用により、高性能アストロカメラとして極めて優れた性能を発揮します。
周辺光量も非常に豊富なため、難易度が高いとされる画像処理での周辺光量補正(フラット補正)を行うことなく、天体写真を仕上げることができます。
また鏡筒自体が非常に軽量・コンパクトであるため、大がかりな機材でなくても、天体撮影が可能です。
詳しくはこちらから
天体撮影では、天体を追尾しながら撮影を行うため、赤道儀を使用します。
おすすめ赤道儀① -星空雲台ポラリエU-
星空雲台ポラリエUは、手のひらサイズのコンパクト赤道儀ながら、『ポラリエ用マルチ雲台ベース』(別売)や『極軸微動雲台DX』(別売)などを併用することで、FL55SS鏡筒を搭載することが可能です。
機材をなるべくコンパクトに収めたい方や、気軽に挑戦してみたい方におすすめの組み合わせです。
FL55SS鏡筒搭載システムイメージ(ポラリエU)
*市販のカメラ三脚を使用する場合は、耐荷重に余裕のあるものを選びましょう。
おすすめ赤道儀② -AP赤道儀-
AP赤道儀は、星空雲台ポラリエUに比べて剛性・操作性が高く、安定した撮影ができます。
FL55SS鏡筒搭載システムイメージ1(AP赤道儀)
〇焦点距離
FL55SS鏡筒の焦点距離は、312mm(フラットナーのみ併用),237mm(フラットナー・レデューサー併用)と、焦点距離が非常に短い天体望遠鏡です。焦点距離が短いことで、追尾も比較的容易になります。
〇天体の選択
焦点距離が非常に短いFL55SS鏡筒は、より広域の撮影に適しています。
見かけの大きさが大きい天体や、複数の天体をまとめて撮るのがおすすめです。
FL55SS鏡筒(フラットナーのみ使用)
SONY α7(ISO2500/30秒×1枚)
~フルサイズセンサー搭載カメラでのおすすめ天体~
春:マルカリアンの鎖
夏:干潟星雲(M8)+三裂星雲(M20)
秋:アンドロメダ銀河(M31)
冬:オリオン大星雲(M42)+馬頭星雲、プレアデス星団(M45)
センサーサイズの小さいカメラを使用する際は、この限りではありません。撮影できる範囲は狭くなります。
♦ワンポイントアドバイス
はじめは、できるだけ明るい星雲・銀河を撮影対象に選ぶことをおすすめします。より低感度・短時間で撮影することができるため、初心者でも撮影しやすい天体です。
ビクセンの無料アプリ「Nebula Book(ネビュラブック)」は、焦点距離を選択することでおおよその画角を確認することができる天体撮影に便利なアプリです。
Vixen
アプリ Nebula Book(ネビュラブック)
対応OS:Android,iOS,Fire OS
無料
「天体の位置や、撮影するための適正な焦点距離がわからない」というユーザーの声から生まれたアプリです。星雲・星団・銀河等の天体には、50mmから300mm程度のカメラ用標準レンズや中望遠レンズで撮影できるものが数多く存在します。Nebula book(ネビュラブック)は、膨大な天体情報の中から、比較的撮影しやすい天体をリストアップしました。天体写真の撮影入門に大変役立つアプリです。
詳細はこちら〇赤道儀の設置
なるべく地面の水平な場所に、天体望遠鏡を設置します。 追尾精度やモーター負荷軽減のためにも、ウェイトバランスはしっかり調整しましょう。
♦ワンポイントアドバイス
天体望遠鏡を組み上げる際には、ひとつひとつのネジをしっかり締めを意識しましょう。緩んでいる部分があると、転倒や追尾不良の原因となってしまいます。
〇極軸合わせ
赤道儀は、動作が天体の動きに合うように設置することが大切です。 このため、赤道儀の極軸(赤経方向の回転軸)と、星の日周運動の回転軸(地軸)が平行となるように設置しなければなりません。この作業を極軸合わせといいます。
『極軸望遠鏡PF-LII(別売)』を使い極軸合わせを行うことで、複雑な機材(オートガイドシステム等)を組むことなく撮影いただけます。
〇ピント合わせ
天体撮影において、ピント合わせは非常に大切なポイントです。
カメラの液晶では一見ピントが合っているように見えていても、PCなどの大きなモニターで見るとズレていることが多くあります。
カメラの液晶で確認する際も、必ず拡大表示を行い、恒星ができるだけシャープに写るピント位置を探しましょう。『デュアルスピードフォーカサー(別売)』を取付けることで、より快適かつ正確なピント合わせが可能です。
♦ワンポイントアドバイス
撮影時の気温や大気の状況によって、ピント位置が微妙にズレてしまうことがあります。撮影対象を変更する際には、再度チェックすることをおすすめします。
〇RAWデータ
撮影時にJPEGデータだけではなく、RAWデータでも保存しておきます。
RAWデータから画像処理を行うと、より綺麗に仕上げることができます。
ただし、データ容量が大きくなりますので、空き容量にはご注意ください。
〇試し撮り
撮影天体を導入後、まず最大のISO感度で数秒の試し撮りを行います。高感度ノイズを気にせず、手早く画角の調整を行います。
星雲が確認しづらい時は、シャッタースピードを遅くしましょう。
〇本撮影
ISO感度を高くして撮影した写真は、全体がざらざらとした質感になっていますが、慣れるまでは60秒~120秒程度のシャッタースピードで、ISO感度*は高めで挑戦してみましょう。ヒストグラムを確認して、ピークの山が左に寄り過ぎていないことがポイントです。
FL55SS鏡筒(フラットナー・レデューサー使用)
FUJIFILM X-T30(ISO3200/120秒×1枚)
*カメラの機種や対象天体によって異なりますが、まずはISO3200~12800での撮影をおすすめします。
星が点像ではなく流れてしまっている場合は、極軸のズレや、赤道儀の設定が間違っている可能性があります。
慣れてきたらシャッタースピードを遅く、ISO感度を落としていきましょう。
♦ワンポイントアドバイス
セルフタイマー撮影やインターバル撮影などのカメラ設定、もしくは市販品のレリーズ等を活用することで、撮影時のカメラへの振動が抑えられ、スムーズに撮影を行えます。ポラリエUでは、各カメラに対応したシャッターケーブル(別売)を併用することで、無料アプリ『ポラリエU』での制御も可能になります。
撮影した写真を画像処理ソフトでレタッチすることで、星雲が持つ独特の色合いをより強調することができます。
ここでは、これから天体写真を始める方向けに、一枚のデータを使ってシンプルにレタッチする方法をご紹介します。
※今回ご紹介する「Photoshop」は有料のソフトウェアです。詳しくは、Photoshop公式HPをご参照ください。
〇強調処理
まずは、写真全体の明るさや色合いを調整します。撮影したRAWデータをPhotoshopで開きます。
データを取り込むと、「CameraRAW」というプラグインが自動で開きますので、これを使い画像処理を行います。
まずは「基本補正」の項目で明るさと色合いを調整していきます。全体的に暗く感じる場合は露光量をわずかにプラスにします。右上のヒストグラムを見て、山を中央付近に寄せましょう。上げ過ぎるとノイズが目立ちますので注意しましょう。
次に背景の空の色が黒もしくはグレーなどのニュートラルの状態にします。
ヒストグラムを見ながら、R(赤),G(緑),B(青)のヒストグラムのデータが一つに重なるように、「色温度」「色かぶり補正」のパラメーターを調整します。
次に「カーブ」の項目でトーンを調整します。 「ライト」をプラス、「ダーク」または「シャドウ」をマイナスすることで星雲部分がはっきりと浮かび上がってきます。
「基本補正」での「コントラスト」や「自然な彩度」、「かすみの除去」のパラメーターもお好みでプラスにしてみましょう。ヒストグラムの各色がズレた場合は、再度「色温度」「色かぶり補正」のパラメーターを調整します。
画像処理方法は、天体によっても様々なアプローチがあり、画像処理する人によっても方法は異なります。自分好みの写真にするためには試行錯誤が必要になりますが、そのプロセスもぜひ楽しみながら作品を仕上げてみてください。
FL55SS鏡筒(フラットナー・レデューサー使用)
FUJIFILM X-T30(ISO3200/120秒×1枚)
以上、天体の撮影と画像処理の手順を簡単に紹介しました。 FL55SS鏡筒は、非常に扱いやすく初めて天体撮影にチャレンジする方におすすめの天体望遠鏡です。 この1本から天体撮影を始めてみてはいかがでしょうか。
サドル付近
FL55SS鏡筒(フラットナー・レデューサー使用)
FUJIFILM X-T30(ISO3200/120秒×1枚)
干潟星雲と三裂星雲
FL55SS鏡筒(フラットナー・レデューサー使用)
FUJIFILM X-T30(ISO3200/100秒×1枚)
アンドロメダ銀河
FL55SS鏡筒(フラットナー使用)
FUJIFILM X-T30(ISO3200/100秒×1枚)
干潟星雲と三裂星雲
FL55SS鏡筒(フラットナー・レデューサー使用)
NIKON Z5(ISO1600/210秒×1枚)
Vixen
天体望遠鏡 FL55SS鏡筒
118,800円 (税込)
フローライトレンズを搭載した大変コンパクトなフォトビジュアル鏡筒です。
専用のフラットナーレンズとレデューサーレンズ(別売)の併用により高性能アストロカメラとしても活躍します。フルサイズ一眼カメラの写野全域にわたりシャープな像を結びます。