ビクセン | 天体望遠鏡、双眼鏡を取り扱う総合光学機器メーカー
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2017.10.05
宝石をモチーフにするという驚きの設定、作り込まれた世界観。戦う宝石たちの美しくもはかない、壮絶な戦いを描くSFファンタジーアクション「宝石の国」。今回そんな宝石を題材にした作品を描く、作者の市川春子さんに宝石鑑賞の魅力についてインタビューしました。合わせて、登場するキャラクターの中から、比較的身近で鑑賞しやすい宝石をご紹介します。
今から遠い未来、僕らは「宝石」になった。
宝石の国は、戦う宝石たちの物語。 命を持った宝石達28人は、襲い掛かる月人に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場について戦います。 戦う宝石たちのこれまで見たことのない美しくもはかない、壮絶な戦いを描くSFファンタジーアクションです。
宝石は希少性が高く美しい外観を持ち、耐久性のある鉱物のことを指します。一般的には、アクセサリーなどの装飾品に使用されています。
宝石の国の登場人物はそんな「宝石」。宝石そのものが人型をしており、それぞれのキャラクターはその宝石の性質が体質や性格として描かれています。
「宝石」をキャラクターにするまでの観察力。そして豊かな想像力が、この不思議な世界観を生み出しているのかもしれません。
作者の市川春子さんが観察する、宝石鑑賞の世界をちょっとだけ教えていただきました。
──宝石をモチーフにするという発想がとても新鮮でした。昔から宝石や鉱物に興味があったのでしょうか?
子供の頃から石に興味がありました。単純に綺麗な色のものが好きでしたが、最近は仮晶(※1)や腎臓状鉱物(※2)を集めています。
※1 仮晶(かしょう):鉱物の結晶形が保たれたまま、中身が別の鉱物によって置き換わること。
※2 腎臓状鉱物:直線状の結晶が放射状に束ねられて成長することによって球状の集合体が形成され、複数の球状の集合体が接合することによって、奇妙な曲面になる。
──フォスフォフィライトを主人公に選んだ理由を教えてください。
図鑑に「希少宝石の一つであるフォスフォフィライトは、収集家の垂涎の的である。もろく欠けやすいので稀にしかカットされない。」と書いてあり、その希少性と美しい色に反して宝石に向かない性質と難解な名前でキャラクター性があるなと思いました。
──キャラクターを描く上で宝石や鉱物を観察されていると思います。普段からルーペなどを使ってじっくりと観察されるのでしょうか。
ルーペはビクセンさんのメタルホルダーM20Sを持っています。ミネラルショーなどにも持って行きます。結晶化した貝の化石などの細かい結晶や、結晶中のインクルージョンなどを見る時によく使います。
──宝石や鉱物は何種類ぐらいお持ちなんですか?お気に入りの宝石があれば教えてください。
種類はちょっとわかんないのですが、300個くらいです。
辰砂(シンシャ)を多く集めています。
──今気になっている宝石や鉱物があれば教えてください。
立方体状のプラチナ単結晶。最近化石にも興味があります。
──作品を通して、宝石や鉱物鑑賞に興味を持つ方が増えてきています。鑑賞のポイントがあれば教えてください。
大きさや色の美しさ、透明度、希少性はきりがないので、形の面白さなどにも注目すると、自分が好きなものを選びやすいですよ。あとお店の人の話をよく聞くと面白いです。
この世で一番美しい紫色 アメシスト
硬度七。右がエイティーフォー、左がサーティースリー。双晶(※)ならではの息の合った戦い方をする。
※双晶:鉱物の結晶の特殊な例の1つ。2つ以上の同種の単結晶が、ある一定の角度で規則性を持って接合したもの。
ガラスのような光沢で、淡いライラック色から、濃紫色まで幅広い色合いがあります。紫色を高貴の色とする古くからの風潮によって、日本ではとくに愛好される宝石のひとつです。また手に入りやすい事と手頃な価格と美しさのため、人気が高い宝石です。
単眼鏡は、対物レンズの縁とルーペスタンドをつなげるとスタンド式のルーペになります。ルーペスタンドは透明のケースになっているので、自然光を取り込むことが出来て、明るく観察することが出来ます。
ぐっと迫力のある宝石の世界を楽しむことが出来ます。
拡大してみるとアメシストの透明感に吸い込まれそうになります。 クラスターの重なる部分に色の濃淡と奥行きを感じることの出来る宝石です。
ダイヤモンドと同じ金剛光沢 ジルコン
硬度七半。フォスの次に若い宝石。真面目な優等生。
ジルコンの光沢は高級な宝石としておなじみのダイヤモンドと同じ「金剛光沢」という特殊な光り方をします。光の屈折率も同じくらいなので、ダイヤモンドの代用品として使われてきました。
今回はジルコンのさざれ石をルーペで観察してみます。
ダイヤモンドに近い優れた光沢が美しく、潤沢な光を包みこみ鮮やかな輝きを放っています。
地球上で最も硬く普遍的な輝き ダイヤモンド
硬度十。硬度は最高の十を誇るが、単結晶の為割れやすく靱性が低い。恋愛話が大好き。
ダイヤモンドは炭素が結晶化した天然鉱物で、地球上で最も硬く普遍的な輝きを放ち続ける物質です。地球の膨大なエネルギーにより誕生したダイヤモンドは、まさに大自然が創りだした芸術品であり、“奇跡の結晶”と呼ばれています。今回はダイヤモンドの原石を使ったアクセサリーを観察してみました。
ルーペでじっくり観察してみると、内部の透明感がよく観察できます。キラキラと美しいインクリュージョンも含まれていることが分かります。今回は原石を観察しましたが、身近なアクセサリーにセッティングされたダイヤモンドは人の手でカットされているので、もっと輝きが強く、複雑に折り重なる鏡のような世界を楽しむことができます。ルーペでじっくり観察してみると、美しい虹のような光の分解が見られることもあります。
それぞれの宝石の特徴を観察し始めると、一つとして同じものが無いことに気が付きます。
拡大して観察することで、その個体の特徴や個性的な表情が見えてきて、更に、その生い立ちなどを知りたくなるのです。
肉眼で観察する宝石と倍率を上げて観察する宝石は見え方が全く異なります。
なめらかな表面が、凸凹で起伏に富んでいたり、透明に見える塊にインクリュージョンが見えたり、目には見えない違う鉱物を含んでいたり…と。少しずつ倍率を上げて観察してみることで、違った世界が広がっていきます。
メタルホルダー ルーペや単眼鏡とルーペスタンドの組み合わせで宝石鑑賞。「宝石の国」に登場する宝石やその世界観を重ね合わせながら楽しんでみてはいかがでしょうか。