ビクセン | 天体望遠鏡、双眼鏡を取り扱う総合光学機器メーカー
ビクセンの取り組み・コミュニティ
2021.03.10
みなさまからご応募いただいた約3000点の中から入賞作品を選出いたしました。
厳正な審査会を経て、グランプリと各賞が決定いたしました。
ビクセン主催
星空フォトコンテスト2020 ~それぞれの宙を見上げて~
審査員の紹介
大西 浩次氏
博士(理学)。日本星景写真協会理事、国際天文学連合(IAU)会員、日本天文学会、日本天文教育普及研究会ほか。第4回淵行男賞入賞。研究分野は重力レンズと系外惑星探査。地球と宇宙と人のつながりをテーマに星景写真を撮影。毎日小学生新聞「ガリレオ博士の天体観測図鑑」隔週土曜連載中。
北山 輝泰氏
プロカメラマン。日本大学芸術学部写真学科卒業。天体望遠鏡メーカーで営業として勤務後、星景写真家として独立。天文雑誌のライターをしながら、全国で写真講師の仕事を行う。星景写真を始めとした夜の被写体の撮影について、座学・実習を通し学べる「ナイトフォトツアーズ」を運営中。
大西浩次氏による総評
どこからでも空を見上げることができますね。どこでも夕暮れの後に美しい星空が広がってきますね。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延によって、物理的にも精神的にもつらい日々が続いています。こんな時期のコンテスト「それぞれの宙を見上げて」には、多くの「想い」を込めた作品の応募がありました。一つ一つの作品を眺め、どう「想い」ながら撮影したのかを思案することは大変楽しい時間でした。一方、コンテストとして順位をつけてゆくことは非常につらい作業でもありました。今回は、応募枚数が約3000点と多いだけでなく、応募作品のレベルがいずれも高く、選定は大変難しい作業でした。このため、選定基準として、「それぞれの宙」への「想い」が伝わるかどうかという観点を重視して選ばせていただきました。この観点で約100枚まで候補を絞ってゆくと、最終的には、自然や星空への考え方や接し方がしっかりできている人の作品となりました。ウイズ・コロナ、アフター・コロナというけれど、こんな時代だからこそ、今までにも増して「それぞれの宙を見上げて」みたいものです。
北山輝泰氏による総評
応募作品全てに目を通させていただきましたが、星空という非常に難しいテーマにもかかわらず練りに練られた力作が多いことに大変びっくりしました。今回選定するにあたっては、作品としての美しさ、壮大さだけでなく、「それぞれの宙を見上げて」というフォトコンテストのテーマに則り、撮影者の星空に対する想いやそれをどう表現すれば世の中に伝えられるかが熟考されているものを選ばせていただきました。ただ、カメラ技術・ソフトウェアの進歩の中で、今まで見たことがない作品の創造が可能になり、そのような最先端の技術を取り入れている作品はやはり魅力的で、選考会では頭を抱えました。今回入選とならなかった作品の中には「あと一歩」というものが多いのも印象的でした。例えば、撮影場所や使っている機材は良くても、撮影タイミングが違っていたり、美しい景色が目の前にあっても適切な露出で撮影できていなかったりというものです。今一度、ご応募いただいた作品を見つめ直していただくと、きっと次に繋がる課題が見つかるはずです。
※画像をクリックすると、大きな画像が表示されます。
※機材名などの情報は応募者にご記入いただいた内容を元に記載しています。
グランプリ「A Comet In The Mirror」
大西浩次氏によるコメント
コロナ禍の昨年7月の短い期間、ネオワイズ彗星(C/2020 F3)が大彗星となった。全国的には天候がすぐれなかったにもかかわらず、コンテストには多くの作品が寄せられた。この作品は、周極星に近い北海道で、まさに低空の空で垂直に立つネオワイズ彗星と、森の池に水鏡で写るという奇跡的な姿の瞬間を捉えたものである。天体現象との出会いは「一期一会」であり、まさに、そこに出会うための「構想」と、実際に出会う「運」と、その一瞬を写しとる「実力」を持っている者のみが撮影できる。まさに、そんな作品なのだ。
北山輝泰氏によるコメント
ネオワイズ彗星(C/2020 F3)は日没後の西の空の低高度という撮影には厳しい条件でしたが、こちらの作品はイオンとダストの尾やコマの様子など、彗星の特徴を見事に捉えています。それだけでなく、水面を利用し彗星を反射させる作品に挑戦した作者の発想力と意気込みに関しても素晴らしいと思いました。また、水面に浮かぶ花や蒸気霧も良いアクセントとして作品に立体感を与えてくれています。
特選「星の邂逅」
大西浩次氏によるコメント
中央アルプス宝剣岳の登山道にせり出した巨大な板岩の上にライトを灯す人。
空には冬のおうし座やすばるが昇り、眼下には雲海の下に街明かりが広がる。
視野をもう少し左に振って、岸壁の高さが表現できていればという思いもあるが、非常にダイナミックな構図で、星空と岩山と下界に広がる世界をうまく表現している。
星空フォトコンテスト「それぞれの宙を見上げて」入選作品展示
入賞作品は、東京都三鷹市にある「天文・科学情報スペース」にて展示を行います。
ぜひみなさまお越しください。
期間:2021年4月9日(金)~5月16日(日)午前11時~午後6時30分
休館日:月・火曜および祝日
会場:天文・科学情報スペース 東京都三鷹市下連雀3-28-20三鷹中央ビル1階
問合せ:同施設 0422-26-9951
アクセス・最新の開館情報などは天文・科学情報スペースのウェブサイトをご覧ください。