土星の環が盗まれる!? 怪盗Sからの予告状 真犯人を追跡せよ

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土星の環が盗まれる!? 怪盗Sからの予告状 真犯人を追跡せよ

2025年5月7日 土星の環が消失!? 2025年5月7日 土星の環が消失!?

4月15日 当社へ届いた犯行予告文書
2025年4月15日

当社へSと名乗る者から犯行予告と思われる郵便物が届いた。内容は次の通り。

5月7日 土星の環をいただく

世紀の大事件なのか、あるいはただのいたずらなのか、受け取った時点での判別は難しく、当社調査部において捜査が開始された。

土星の環に問題はないようだ 土星の環に問題はないようだ

翌日の早朝、当社屋上にてまずは現在の土星の状態の確認が行われた。4:30、すでに空が明るくなり始めているが、天体望遠鏡の自動導入のおかげでなんとか土星を確認。

調査部員Aの観測メモ
土星の環に問題はないようだ。しかしいつもの土星とはイメージが違う気がする
Astro Fi5 SCT
天体望遠鏡No.1 調査部所有

Astro Fi5 SCT

対物主鏡有効径

127mm

焦点距離

1,250mm

口径比

F9.8

スマートフォンのアプリにて見たい天体を選ぶだけで、自動でその天体の方向へ天体望遠鏡の向きを変えてくれる。

製品ページはこちら

証言1. 3月24日にも一度、環は消えましたよ 証言1. 3月24日にも一度、環は消えましたよ

続いて調査部は、天文ファンと称するB氏の目撃証言を得た。

惑星を観測することを日課とするB氏

「土星の環ですか? すでに3月24日に一度消えましたよ。」
−えっ! それは本当ですか?
「知らないのも無理はないですよ。何しろこのときの土星は太陽とほとんど同じ方角にあったので、私たちが見ることはできなかったですから。土星の環は毎年傾きが変化して見えるんですよ。約30年の周期で同じ傾きになります。2025年の土星は地球からちょうど真横を見る状態になるので、厚みがとっても薄い環はまるでなくなったように見えるんですよ。」
−なるほど、そうでしたか。
「でも土星と太陽が同じ方向に見える「合」に近い時期、つまり今頃は、環の消失は1度しか起きないはずです。だから5月7日はそれは関係なさそうですねぇ。」

証言2. 盗むこともできるんじゃないかな 証言2. 盗むこともできるんじゃないかな

また別の天文ファンC氏からも聞き込みを行った。

「土星の環を盗むって? ははは。…でもやれるかもね。あれって円盤みたいに見えるけど、石とか氷とかが集まってグルグル土星の周りを回っているだけなんだよ。しかも時速6万とか8万kmとか信じられないスピードで。だからその動きを邪魔してしまえば、盗むこともできるんじゃないかな。ははは。」

環の動きを止めれば盗めると語るC氏

土星も太陽の光で見えている…! 土星も太陽の光で見えている…!

4月25日 4:00

調査部員Aが自宅にて土星の観察を行うとともに、目撃者B、Cの証言を考えてみた。

なるほど。土星の印象が何か違うと感じたのは、環の傾きが真横に近くなっているからだったのか。今日は月と金星も一緒に見える。ずいぶん細い月だが、間もなく昇ってくる太陽にあの部分だけ照らされているということなんだよなぁ。…土星も太陽の光で見えている…! そこに何か手がかりは!?
StarSense Explorer LT 80AZ
天体望遠鏡No.2 調査部員私物

StarSense Explorer LT 80AZ

対物レンズ有効径

80mm

焦点距離

900mm

口径比

F11

総重量

4.17kg

軽くて持ち歩きが楽。
スマートフォンのアプリを使ってゲーム感覚で操作できる。

製品ページはこちら 特設ページはこちら

証言3. ちょうど真横から太陽光が当たると地球からはほぼ見えなくなるんだよ 証言3. ちょうど真横から太陽光が当たると地球からはほぼ見えなくなるんだよ

4月28日

天文書の著者であるD氏に参考意見を伺いに来た。

「土星の環の見え方にはもちろん太陽が関係していますよ。」
−やはりそうですか!
「土星の自転軸はだいたい27°ぐらい傾いていてねぇ…」
(中略)
環はとても薄いから、ちょうど真横から太陽光が当たると、環に対する日照はとても少なくなって地球からはほぼ見えなくなるんだよ
5月7日はちょうどその日だね。」
−!!!

2025年5月7日は土星に太陽光がこのように当たっていると見られる

5月7日 3:15 土星の確認作業に入る 5月7日 3:15 土星の確認作業に入る

5月7日

2:30
当社屋上に調査部員が集合し天体望遠鏡のセッティングを行う。

2:43
東の地平線から土星が昇り始める。

3:15
土星の環の確認作業に入る。
高度は約5°とかなり低い。
4:43の日の出まで時間がない。
急がねばならない。

観測した3:15時点の土星

「土星はどうだ!? 環は無事か?」
「見えません!」
「環がないと、なんだか、土星じゃないみたいだ。」
「んー、しかし明日以降の土星を見ないと、太陽のせいで一時的に見えないだけなのか、本当にSに盗まれたのか、わからないんじゃないか?」
「そうですね。まあ、これからだんだんと土星は観察しやすい時期に入りますから、明日以降も調査を続けましょう。」

NexStar Evolution8
天体望遠鏡No.3 調査部所有

NexStar Evolution8

対物主鏡有効径

203mm

焦点距離

2,000mm

口径比

F9.9

世界で高評価を得ているC8鏡筒を採用。
スマホのアプリで自動導入が可能なので、薄明の中の惑星を探すときなどに便利。

製品ページはこちら

土星の環の検証 土星の環の検証

5月14日

その後の調査によって、土星の環の復活が認められた。

9月21日の土星の衝に向かって、昇り始める時刻が徐々に早まり、程よい時間に高度の高い土星が見られるようになっている

土星が地球から見るとちょうど太陽と反対の方角にあって、深夜に真南に昇る。土星は日没頃に昇り始め、日の出頃に沈むので、観察できる時間も長い。

調査部員Aのメモ
結局、単に太陽の光のせいだったんじゃないか。まったく人騒がせな。こんな予告状を送ったSって誰なんだ? S、S、S…、Suturn=土星? Sun=太陽?

新たな予告状 新たな予告状

調査部員Aがつぶやいていると、記者Eが調査部に飛び込んできた。

「た、大変ですっ! 犯行予告がまた!!」

11月24日に土星の環をいただく

「なにっ!またか。」

SX2WL-VC200L
天体望遠鏡No.4 調査部員所有

SX2WL-VC200L

対物主鏡有効径

200mm

焦点距離

1,800mm

口径比

F9

大口径鏡筒で天体の撮影にも威力を発揮する。スマホでの操作も可能。

製品ページはこちら

参考

So-TEN-Ken Vol.94 2025春