ビクセン | 天体望遠鏡、双眼鏡を取り扱う総合光学機器メーカー
あの感動的な星空を画像で残したい! という方々へ。
天体撮影の基礎知識を超ビギナー目線で解説します。
奥は深いけれど、実はビギナーさんでもそこそこカッコいい写真は撮れちゃうんです!!
撮影は本格的になると機材をいろいろと用意したり、しっかりした準備が必要ですが、実は星空の撮影は
レンズの焦点距離によって写る範囲が変わります。
広い星空を撮るなら焦点距離24mm以下の広角タイプがオススメです。
月が出ていると夜空が明るく、星の光をかき消してしまいます。
星の輝きをくっきりと撮りたいなら、月の出ていない時間を狙いましょう。
月明かりと同様、街灯なども影響します。
街中ではどうしても屋外の照明で空が明るくなってしまうので、郊外で撮影するのがオススメです。
暗い場所では足元の安全や車の往来に注意を。
天体はどれも果てしなく遠いので、1つの天体にピントを合わせれば、ほかの天体にも合います。
だから一番明るくてわかりやすい天体でピント合わせを行なったら、もうフォーカスリングは触らないようにします。
天体なら「∞(無限遠)」で良い気もしますが、それでは微妙に合っていないことが多いので、ライブビューモニターなどでしっかりピントが合っているかの確認が必要です。
これらのポイントを踏まえて、後は好きな構図に向かって露出時間を変えてたくさん撮ってみてください。
シャッターを切るときはリモコンやタイマーを使うと、指の動きでカメラがぶれてしまうのを防ぐことができます。
露出時間が20〜30秒以下でしたら、星はほぼ点となって写りますし、それより長ければ日周運動に合わせて、短い弧を描くように写ります。
どちらもそれぞれの味があります。
慣れるまではとりあえずたくさん撮って、比べてみてください。
肉眼では見えていなかった星も、撮影してみるとたくさん写っていて、星座の形などもよく分かります。
<これは便利!>
天体観測用ライト「SG-L02」
明るくないライト!?
星を見るときは、明るすぎる人工的な光を視界に入れてしまうと、目がくらみ、星が見づらくなってしまいます。
そこで明るすぎないライトが、手元を照らしたりするときに重宝します。
SG-L02は赤色LEDと電球色LEDの2色を切り換えることができ、明るさは無段階調整ができます。
地球は1日に1回転(自転)していますが、「地面が動いている」なんて感じることはないですよね。
でも星空はそれを見事に表していて、写真に収めることで、私たちに地球が動いていることを実感させてくれます。
今回はそんな星の動きをとらえる撮影方法をご紹介します。
用意するのは1時間めと同様
都心から離れた郊外で、なるべく周りに街灯など人工光のない場所を探しましょう。
少なくともカメラを向ける方向には人工光が入らないように。
1〜2km以上遠くにポツポツと光があるぐらいならあまり影響しません。
最初は2〜3分、シャッターを開けたままにして写してみます。
モニターで確認して、背景の空の色が灰色や水色っぽい、つまり明るい場合は絞りの数値を大きく。写っている星の数が少ない(暗い)感じがしたら、絞りの数値を小さくします。
それぐらいでもまだ暗いようであれば、ISOの数値も大きくしてみましょう。
何回かテストして、ちょうど良いセッティングを探しましょう。
本番では10分以上、できるだけ長くシャッターを開けておきます。
この間、カメラを触るのはもってのほか。
近くを歩いたり、椅子に座ったときのわずかな振動にも注意です。
撮影途中でバッテリーが切れないよう、本番撮影の前にフル充電のバッテリーに取り替えておくこともオススメします。
シャッターを開けておく時間が長いほど、星の軌跡は長くなります。
風景と上手に組み合わせて、地球の自転、ひいては宇宙のスケールの大きさを表す画像を手にしてください。
<これは便利!>
レンズヒーター360Ⅳ
結露によるレンズの曇りを防ぐレンズヒーター。
レンズに巻きつけやすい、柔らかい素材の面ファスナーを使用。マイルドな粘着力で、着脱がスムーズです。
電源供給にはUSB Type C端子を採用(電源コード付属)。
2時間めで、星が軌跡を描くように撮影する方法を学びました。
今回は比較明合成という画像の合成方法を使って、星の軌跡の画像を作る授業です。
比較明合成とは、同じアングルで写した画像を何枚も重ねて合成するのですが、それぞれの画像を部分的に比較して、明るい方の画素だけを採用して合成します。
地上の風景など明るい部分は元の明るさを超えることはなく、星の光が現れた部分だけ足されて、結果的に星の軌跡が作り上げられます。
比較明合成の最も簡単な方法は、あらかじめこの機能がついているカメラを買うこと。
メーカーによりますが、この機能はライブコンポジット、ライブビューコンポジット、星空軌跡などと呼ばれています。
必要なもの
まず三脚でカメラを固定し、必要な時間だけ何十、何百枚と連写します。時間は長いほど軌跡は長くなります。
このとき長時間露光のノイズリダクション機能がオンのままだと、連続シャッターが切れなくなることがあるので、この機能はオフに。
感度はISO400~800くらい。
絞り(F値)は4前後に。
最大絞りがもっと暗いレンズの場合は、最大限明るく(F値を小さく)します。
シャッタースピードはテスト撮影をして決めます(下の画像の撮影データも参考に)。
夜空の下で液晶画面を確認するときは、明るめに見えるので、液晶モニターの照度を少し暗めに設定しておくのがコツ。
シャッタースピードは短め(おおよそ8秒以下)の方が、星が滑らかにつながるようです。
シャッタースピードが決まったらいよいよ本番。
カメラを連写モードにし、撮影を開始しますが、長時間、指でシャッターを押し続けてはいられないので、レリーズを使います。
レリーズはバルブモードにしておくと、解除するまでカメラはずっと撮影を続けます。
撮影が終わったら、次にパソコンで合成を行います。
有償の画像アプリケーションに、比較明合成が可能なものがありますが、無償でダウンロードできるアプリもあるので、まずそちらで試してみるのもオススメです。
<これは便利!>
レンズヒーター360Ⅳ
結露によるレンズの曇りを防ぐレンズヒーター。
レンズに巻きつけやすい、柔らかい素材の面ファスナーを使用。マイルドな粘着力で、着脱がスムーズです。
電源供給にはUSB Type C端子を採用(電源コード付属)。
流れ星は見つけてからシャッターを押したのでは間に合いません。
流れ星の速度は秒速約40kmととても速く、ほとんどが1秒以下で消えてしまうため、長時間露出でもかなり明るい流れ星しか写すことができません。
そこで流星群をバッチリ撮影するための特別な方法をご紹介します。
流れ星はどこに現れるかわからないので、できるだけ広範囲の空をとらえるのが正解です。
そのためにできるだけ広角の (焦点距離の数値が小さい) レンズを選びましょう。
放射点(※1)から離れた位置に出現する流れ星の方が、軌跡が長くなる傾向があるので、カメラを放射点の方向に向ける必要はありません。
なるべくF値の明るいレンズを使いましょう。
開放F値がf2.8よりも明るい (数値が小さい) とベストですが、暗くてもf4以下がベター。
恒星などを撮るときは、開放だと画面周辺が暗くなることがあるので、開放値より少しだけ絞りますが、流れ星は絞らずに開放で (数値を最小にして) 撮影します。
ISO感度はノイズが我慢できる限界まで上げます。
ノイズとは、感度を高くした時に画像全体がザラザラとした感じになること。
流れ星の撮影ではISO6400〜12800まで上げて撮影することも多いですが、カメラの機種や気温によっても変わる (気温が高ければノイズは増え、低ければ減る) ので、事前にテスト撮影をしてみましょう。
上記の設定でテスト撮影して、夜空が明る過ぎないシャッタースピードを探します。
目安はf2.8のレンズ/ISO3200/街灯の少ない郊外でシャッタースピード (露出) 2〜4秒くらいですが、周囲や空の明るさによって加減が必要です。
シャッターは連写モードにします。
流れ星はいつ流れるかわからないため、レリーズをバルブ (B) モードにして、カメラの写野の中に流星が流れるのを祈りながら、ひたすら連続撮影をします。
そして撮影が終わったら、期待を持って流れ星が写っているカットを探します。
<これは便利!>
レンズヒーター360Ⅳ
結露によるレンズの曇りを防ぐレンズヒーター。
レンズに巻きつけやすい、柔らかい素材の面ファスナーを使用。マイルドな粘着力で、着脱がスムーズです。
電源供給にはUSB Type C端子を採用(電源コード付属)。
5時間めからはいよいよ天体望遠鏡を使った撮影です。
最初は天体望遠鏡+スマートフォンというお手軽撮影からトライしてみましょう。
この方法に適した被写体は月。
天体望遠鏡の接眼レンズにスマホのレンズをピタッと合わせてシャッターを押すだけです。
慣れるまでは少し大変ですが、コツをつかめば簡単に撮れるようになりますよ。
天体望遠鏡の倍率は月全体を撮るなら30〜50倍ぐらい、月面のアップなら100倍ぐらいがオススメです。
月は満ち欠けをしますから、何日かかけて違う月齢の月を撮ってみましょう。
明るい部分と暗い部分の境目(明暗境界線)が特に立体的に写り、月面を身近な存在に感じられます。
月までフラッシュ(ストロボ)の光は届かないのでOFFにしておきます。
天体望遠鏡の接眼レンズの中心とカメラレンズの中心がぴったり一致していないと、一部もしくは全部が黒く欠けた状態になってしまいます。
また月は意外と移動が速いので、望遠鏡の鏡筒の向きも変えていかないと、月が視野から外れてしまいます。
そこで下の写真のようなアダプターでスマホを望遠鏡に固定してしまうと便利。
月を追いかけることだけに集中できます。
レンズが複数ついているスマホの場合は、画面を見ながら、どのレンズに合わせればいいかも最初に確認しましょう。
真っ暗な夜空に明るい月。明暗の差が激しい被写体なので、スマホの露出補正機能を使って、月が程良い明るさに写るように調整しましょう。
最近のスマホであれば、ほとんどこの機能はついています。
星がキラキラして見える夜は大気の揺らぎが大きく、実は天体を観察するのには向いていません。
これは月を撮影するときにも影響しますので、撮影した画像が少々ぼやっとしていると思ったときは、また別の日に撮影してみましょう。
<これは便利!>
スマートフォン用 カメラアダプター
天体望遠鏡の接眼レンズにスマートフォンを固定させるアダプター。
これがあればピント合わせや露出調整などがじっくりでき、手動で天体を追うのも楽に。
例えば動画モードにして、1つの天体からほかの天体にアングルを変えながら写し続けるなんていうことも可能に!
取付可能な接眼レンズやスマートフォンについては下のリンクからご参照ください。
これまではカメラを固定して撮影していましたが、今回は星の動きに合わせてカメラを動かす追尾撮影にトライ!
そこで必要になるのが赤道儀とモーター。
この2つがあると、接続したカメラを星と同じ速度で、同じ方向に動かしてくれるので、星が線のように流れることなく、粒(点)として写ります。
このページの一番下にあるような自動追尾機能のついた赤道儀であれば、別途モーターは不要。簡単なセッティングで追尾撮影ができます。
ここではポラリエUを使った例で説明しましょう。
雲台付きの三脚にポラリエU(赤道儀)を取り付け、そこに雲台、カメラを取り付けます。
下から順に、雲台付き三脚―ポラリエU―雲台―カメラです。
雲台は、カメラを楽にあちこちに向けられる自由雲台がオススメ。
組み立てが済んだら赤道儀の電源を入れておきましょう。
星は北極星を中心にして円を描くように動いていきます(日周運動)。
赤道儀が星を追えるようにするためには、北極星の方角に赤道儀の向きを合わせる必要があります。
これが極軸合わせ。
ポラリエUには北極星をのぞく穴が空いていて、ここから素通しで空をのぞき、真ん中に北極星が見えればOKです。
このとき片目をつぶらないのが、星を見づらくしないコツです。
次にカメラの準備。
星空ではAF(オートフォーカス)はうまく動作しないので、MF(マニュアルフォーカス)でピントを合わせます。
最初に明るい星や月の輪郭部分を視野に入れてピント合わせをします。
天体への距離はカメラにとってはどれも同じなので、一度合わせたら構図を変えてもそのままに。
ピントリングをマスキングテープなどで固定するのもいい方法です。
次に構図を決めます。
追尾撮影では、地上の風景の方が動くことを忘れずに。
セッティングが済んだら1〜2分放置して、赤道儀の回転が安定するのを待ちます。
そしていよいよ撮影。
カメラを振動させないように、シャッターはリモコンを使って切ります。
露光中は不要な振動を与えないように、カメラから少し離れていると良いでしょう。
絞りは開放にするか1段ほど絞りこみ、露出時間は何度かテスト撮影をしてみて、最適の時間を探しましょう。
上の撮影データも参考の1つに。
<これは便利!>
星空雲台ポラリエU(WT)
ポラリエシリーズは太陽、月、恒星それぞれの見かけの動きに合わせて追尾し、天体を点像として撮影するためのポータブル赤道儀。
タイムラプス機能を備えていて、カメラアングルを水平・天地方向にスライドさせながら静止画を撮り続けることが可能です。
赤道儀を使って、星の日周運動に合わせてカメラを動かしながら撮る追尾撮影。
今回は1つの星座を1枚のカットに収めて撮るポイントを紹介します。
レンズは通常、広角、標準ズーム、単焦点の標準・中望遠などを使います。
撮りたい星座の大きさにあったレンズの焦点距離は以下を参考に。
<レンズの焦点距離と収まる星座>
35mm:ペガスス座(横)、うお座(横)、くじら座(横))
50mm:みずがめ座(横)、カシオペヤ座(横)、アンドロメダ座(横)、ペルセウス座(縦)、おひつじ座(横)
80mm:みなみのうお座(横)、やぎ座(横)、ケフェウス座(縦)
※レンズの焦点距離は35mmフルサイズ換算。(横)は横長の構図、(縦)は縦長の構図。
ポラリエU(赤道儀)をセッティングし、カメラを取り付け、レンズを目当ての星座に向けます。
慣れないうちは目当ての星座を画角に収めるのがちょっと大変なので、少し広角(焦点距離が短い)気味のレンズを使って、撮影した後にトリミングすると良いでしょう。
惑星が見えている時期は、その背景の星座と一緒に狙ってみましょう。
惑星は時期によって位置が変わるので、その星座と一緒に写るのは、いわば“巡り合わせ”。
後で振り返ると感慨深いものがありますよ。
惑星の動きは速いので、何日かおきに写真を撮ることで、星座の中を移動していく惑星の姿をとらえることができます。
<これは便利!>
星空雲台ポラリエU(WT)
ポラリエシリーズは太陽、月、恒星それぞれの見かけの動きに合わせて追尾し、天体を点像として撮影するためのポータブル赤道儀。
タイムラプス機能を備えていて、カメラアングルを水平・天地方向にスライドさせながら静止画を撮り続けることが可能です。
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