Vixen の科学情報誌 So-TEN-Ken(ソウテンケン) WEB版

今年の夏は金星がキラッキラ。
あの金星から宇宙を学ぼう!!

「明けの明星」や「宵の明星」と言うけれど、金星は夜中に見えないの?
...そう、どんなにがんばっても、夜中に地球から金星を見ることはできません。
その理由をすぐ答えられたら、それは宇宙から見た惑星の様子がわかっている証拠。
今年の夏は金星を知って宇宙を学ぼう!

三日月と宵の明星・金星

<三日月と宵の明星・金星> 撮影:©井川俊彦(2023.2.22)

<ルール1> 月のように満ち欠けする

金星、10か月の変化

<金星、10か月の変化> 撮影:© 中西アキオ(2021.8.30〜2022.5.25)

地球など惑星は自分から光を出すのではなく、太陽光に照らされることで見えています。月のような衛星も同じです。だから太陽光の当たっている部分と当たっていない部分があり、それが満ち欠けとなって見えるのです。上の写真はほぼ1か月ごとに撮った金星です。このように天体望遠鏡で金星を観察すると、まるで月のように満ち欠けをしていることがよくわかります。

<ルール2> 大きさが大胆に変わる

公転軌道上を移動している惑星同士の距離は、大きく変化します。それで地球から見た金星の大きさも大胆に変わります。太陽と地球の距離を1とする(※1)と、金星が地球に最も近づいた時が約0.3、最も遠い時は約1.7、見た目の大きさは最小時の約6倍まで大きくなります。ほかの惑星も同じように地球との距離は変化していますが、そもそも地球からすごく離れているので大きさの変化を感じにくく、金星はすぐお隣の近い惑星だからよくわかるのです。

※1...太陽と地球との平均距離は1au<天文単位>=約1億5,000万kmと定義されています。

<ルール3> 観察にオススメは最大離角

イラスト:金星の満ち欠けと見かけの大きさの変化

<金星の満ち欠けと見かけの大きさの変化>
金星の大きさは地球から見た金星の視直径の違いを示します(デフォルメあり)。

イラストAは宇宙から見た太陽と金星と地球です。地球から見て金星が太陽からいちばん離れている位置を最大離角[さいだいりかく]と言い、このときに最も長い時間、金星を観察することができます。地球から見た天球上で、太陽の西側に最も離れるときを西方[せいほう]最大離角(明け方の東の空に見える)、東側を東方[とうほう]最大離角(夕方の西の空に見える)と呼びます。金星と太陽がピッタリ重なるときは合[ごう](内合・外合)と言い、その前後数日を含めて金星の観察には適していません。
また金星がいちばん明るくて見やすいときを最大光度と言いますが、これは
① 地球との距離が近い
② 太陽に照らされている面積が広い
この2つの条件の微妙なバランスによって決まります。

金星カレンダー

イラスト:6月1日〜8月1日の金星の位置

<6月1日〜8月1日の金星の位置>
没後。東京を基準としています。

イラスト:8月25日〜11月1日の金星の位置

<8月25日〜11月1日の金星の位置>
日の出前。東京を基準としています。

イラスト:7月20日の金星

<7月20日の金星>
日没45分後の東京の空。火星が近くにあり、7月20日、21日と細い月も加わり、美しい眺めとなります。

<イラストAで金星の位置も確認してみよう!>

6月4日
東方最大離角(日没後の西の空、高度も高く見やすい)
6月中旬
よく見える(日没後、西、光度-4.4等、視直径26.9")数値は15日のもの
6月22日
月齢4.3の月と金星が並ぶ。火星も近い
7月10日
最大光度(一番明るくて見やすい、-4.5等、38.8")
7月20日
月齢2.7の月と金星が並ぶ
7月下旬
よく見える(日没直後、西低空、-4.4等、49.1")数値は25日
8月13日
内合(見えない)
8月下旬
よく見える(日の出直前、東低空、-4.2等、54.4")数値は25日
10月24日
西方最大離角(日の出前、東、-4.4等、24.1")

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