Vixen の科学情報誌 So-TEN-Ken(ソウテンケン) WEB版

星食に月食...。
食の秋は、月を味わおう!

食欲の秋。今年の秋はお月さまも食が盛んなようです。
さそり座の1等星をパクッと食べたかと思えば、地球の影にパクッとかじられたり。
なんだかおいしそうな秋の月に注目!です。

スピカ食

<2013年、おとめ座の1等星スピカ食(出現後)> このときはスピカの青白い輝きが印象的だったが、今回のアンタレスは赤っぽい1等星。撮影:©井川俊彦(2013.8.12)

9月21日は星食。
赤いアンタレスをパクッ!

イラストA

<A 9月21日のアンタレス食>
東京近郊では「危難の海(危機の海)」と「豊かの海」の中間ぐらいから出現する。

この日の夕方、南西の空で、さそり座の1等星アンタレスが月に隠れてしまう星食が起こります。この日の月齢は6.3。上弦前の細めの月で、アンタレスはイラストAのように、月の暗い側から姿を消し(潜入)、月の明るい側から現れます(出現)。潜入はまだ日没前で空が明るいので、肉眼ではよく見えませんが、天体望遠鏡を使えばバッチリです。出現は日没後で、沖縄以外ではかなり暗くなっているので、肉眼や双眼鏡でもOK。光の速度で測ると地球から月までは1.3秒、アンタレスまでは604年。遠く遠くにあるアンタレスが手前にある月で隠れ、そしてまた現れる宇宙の神秘を味わってください。イラストAで出現の位置をよく確かめておいて、天体望遠鏡を高倍率にして出現の瞬間を目撃するのも楽しいですよ。倍率を上げると月面の明るさが抑えられ、恒星のような点光源がハッキリ見えます。

!! 日没前に天体望遠鏡を使う場合は、絶対に太陽を視界に入れないよう注意! 目に大怪我を負う危険があります。

9月29日は中秋の名月。
今年は珍しくまんまる

「中秋」は旧暦8月15日の呼び名。それを現代の暦で計算した日の月を中秋の名月と言いますが、必ずしも満月とは限りません。むしろ満月でないことの方が多いのです。でも今年の中秋の名月は珍しく満月で、次に中秋の名月が満月になるのは2030年。秋の月は南中(※1)高度が高過ぎず低過ぎず、眺めるのにちょうど良いと言われています。部屋の明かりを落として、窓から差し込む月明かりなど、雰囲気に浸ってみるのも良いかも。

※1...天体がちょうど真南にくること。

10月29日夜明け前は月食。
空に溶けていく月も堪能しよう

イラストB

<B 10月29日の月食>
タイムテーブル。この日は月の左上に木星も見える。方角・高度は東京を基準としている。

イラストC

<C 地球の影と月の移動>
太陽に照らされて宇宙にできる地球の影(本影・半影)。月はこのような道筋で移動していく。

画像:食分0.09の部分月食

<食分0.09の部分月食>
撮影:©井川俊彦(2022.11.8)

月食は、宇宙にできる地球の影に月が入っていくこと。月が全部、影と重なると「皆既月食」、一部だけ重なっている状態は「部分月食」と呼び、この日の月食は部分月食です。時刻は夜明け前、位置は西の低空日本全国で見られます。地球の影によって欠けるのは、最大で月の直径の約13%(食分0.128)とかなり小さいので、天体望遠鏡や双眼鏡を使って見るのがオススメです。月食が始まるのは4:35。その前、3:02に半影食といって、地球の影の薄い部分に入り始めますが、これは上級者でないとわかりづらいかもしれません。月は沈む直前で、かなり高度が低くなっています。西〜西北西で、地平線近くまで視界が開けている場所を事前に探しておくことも忘れずに。日の出が迫るとともに、月が空に溶けるように薄くなっていく様子もなかなか美しいですよ。

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