ビクセン | 天体望遠鏡、双眼鏡を取り扱う総合光学機器メーカー
まだ彗星を見たことがない人には、初体験のチャンス!
2023年に発見された彗星がいよいよ今年の秋、太陽と地球に近づき、もしかしたら肉眼でも見えるぐらい明るくなるかも!? と予測されています。
この機会にSF感たっぷりの彗星の姿を目撃しましょう。
2023年1月9日に中国の紫金山[しきんざん]天文台で発見され、その後2023年2月22日に南アフリカの小惑星地球衝突最終警報システムATLAS[アトラス]も同じ彗星を検出しました。だから彗星の名前に両方の名称が入っています。
様々な観測結果から、発見時に木星と土星軌道の間にいたことがわかり、その距離と光度から「この彗星は本体が大きめなのでは?」「近日点通過の頃、明るい肉眼彗星になる」と予測されています。ただし彗星の光度予想はとても難しく、地球に近づいていよいよ見えるかなと思ったら意外と暗かったり、軌道上で少しずつ崩壊することも。あるいは逆に大彗星になって、大騒ぎになることもあります。
紫金山・アトラス彗星の観察にオススメの時期は上の表の通り。10月上旬までは高度が低いので、地平線近くまで見晴らせる観察場所を探しておきましょう。10月12日に地球に最も近くなり、その後だんだん遠ざかってしまうのですが、高度が上がっていくので、観察はしやすくなります。
10月中・下旬ぐらいまでは太陽に近くて、観察できる時間も短いので、早めのスタンバイが欠かせません。彗星の位置は日々変わるので、観察の前に「Comet Book」(裏表紙参照)のようなアプリなどを使って確認しておきましょう。10月中旬以降、夕方・西に見られる時期は、そばに金星が出ているので、それを頼りに探すのも良いです。晴れていて「あのあたりに見えるはずなのになぁ」となかなか見つからない場合は、その方角をスマホやデジカメなどで撮影して、その画像を拡大して探すという手もあります。その際は目印になるよう、地上の風景が多少映り込むように撮ります。
彗星観察には天体望遠鏡だけでなく、双眼鏡もオススメです。対物レンズ有効径30〜50mm、倍率7倍ぐらいの双眼鏡を使えば、彗星から伸びる2種類の尾もわかるかもしれません。双眼鏡を三脚で固定すれば、一度見つけた彗星を見失うことがないので、みんなで交代で観察することもできますね。もし予測通りの明るさで見られたら、言葉にできないぐらい感動しちゃうに違いないですよ。
よくあるのは、流れ星と彗星がゴッチャになって生じる誤解。この機会に正しい知識を整理しておきましょう。
彗星は大きさが、数〜十数km(標準)の天体。地球を含む惑星はみんな、太陽を中心としてほぼ円軌道を描いて周回しているのですが、彗星は軌道が3種類あります。
今回の紫金山・アトラス彗星は3の「非周期彗星」で、今後二度と見ることはできません。
彗星の本体(中心部)は「核」と呼ばれ、岩石や有機物の混ざった氷(水)でできていて、よく「汚れた雪玉」に例えられます。太陽に近づくと太陽からのエネルギーを受けて核の表面が壊れて、その周りでガスやちりがボールのような形になり、彗星の「コマ」と呼ばれる部分を作り出します。さらにガスとちりは線状にもっと遠くまで飛ばされ、尾となります。彗星は宇宙の長旅の最中、ちりのかけらを落としながら進んでいて、そのかけらは流れ星の“元”となります。かけらが地球の大気と激しくぶつかって光って見えるのが流れ星。長年、宇宙空間を旅する彗星と違って、流れ星は地球の大気圏であっという間に光輝き消滅してしまいます。
彗星の尾は2種類あって、成分や見え方が違います。1つは「イオンテイル」。電気を帯びたガス(イオン)でできていて、撮影すると青く写ります。太陽から吹く風に流されて太陽の反対方向に伸びています。もう1つは「ダストテイル」。彗星から飛ばされたちりでできていて、画像では白っぽく写ります。同じように太陽の反対方向に伸びますが、広がった幅のある尾になります。このように尾が伸びる方向は、イメージとは違って、進行方向に関係なく太陽と逆の方向に向かって伸びています。
専用アプリをインストールしたスマートフォンを天体望遠鏡に接続して、天体ナビゲーションができる。ゲーム感覚の操作が楽しい天体望遠鏡。