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<かんむり座>
うしかい座の1等星アークトゥルスを目印に。その横で「U」の字に並んでいる星がかんむり座。
ビクセン | 天体望遠鏡、双眼鏡を取り扱う総合光学機器メーカー
人間と神々が織りなす不思議でロマンティックな神話。
古くは紀元前に生まれ、現代まで語り継がれてきました。
今回は、U字型に並ぶ姿がかわいらしい印象のかんむり座の神話と、今夜早速見てみたくなるかんむり座の“今”のお話です。
<かんむり座>
うしかい座の1等星アークトゥルスを目印に。その横で「U」の字に並んでいる星がかんむり座。
ミーノータウロス(ミノタウロス)は頭が牛、体が人間という怪物で、クレタ島の王妃 パーシパエーと美しい雄牛との間にできた子でした。ミーノータウロスは乱暴者に成長し、やがてクレタ島の王 ミーノースによって、地下に作られた迷宮へ閉じ込められてしまいます。そしてクレタ島に戦争で負けたギリシャの都市国家アテネは毎年、ミーノータウロスに生贄として少年と少女を送るよう命じられます。
ある年、生贄に混じってアテネの王子 テーセウスがクレタ島に渡りました。そのテーセウスに一目惚れしたミーノース王の娘アリアドネーは、短剣と糸巻きをテーセウスに手渡します。
糸巻きの糸の端を迷宮の入口にくくりつけ、テーセウスは迷宮を進み、見事、ミーノータウロスを倒します。そして糸を手繰り寄せることで、無事に迷宮を脱出。
テーセウスはアリアドネーと結婚の約束をし、アテネに連れ帰ろうとします。途中のナクソス島まで来たとき、「アリアドネーをアテネに連れ帰ると不幸になる」とお告げがあり、なんと、テーセウスはアリアドネーをナクソス島に置き去りにしてしまいました。
アリアドネーはショックのあまり海に身を投げようとしますが、そこをディオニューソスが通りかかります。ディオニューソスは豊穣と葡萄酒の神で、アリアドネーに同情するとともに恋をします。そしてディオニューソスとアリアドネーは結婚。その結婚式で女神アプロディーテーが贈った冠が、かんむり座になったと言われています。
※神話には諸説あります。
かんむり座には明るさの変化する変光星、T星がありますが、これが2024年から注目の的となっています。かんむり座T星は赤色巨星と白色矮星の2つが重なって、1つの星のように見えている連星[れんせい]。そして赤色巨星から白色矮星に水素ガスが流れ込み、白色矮星の表面に積もった水素ガスの量が限界を超えて核融合反応を暴走させて、爆発を起こすことが知られています。
また、かんむり座T星は十数年〜数十年間隔で爆発を繰り返している再帰新星と呼ばれる天体で、1787年、1866年、1946年に爆発した記録が見つかっています。そのためT星は約80年周期で爆発が起きると予測され、また前回の爆発直前に似た兆候が見られたことから、次は2024年に爆発するか? と思われていましたが、残念ながら昨年は爆発しませんでした。
普段は10等ぐらいの明るさしかないT星ですが、爆発時は2等台まで明るくなり、わずか3日後には4等台まで暗くなってしまうと予測されています。かんむり座は春から夏にかけて見やすい星座。毎日観察して、ぜひ一緒に新星爆発を目撃しましょう!
※2025年1月時点の情報です。