星空TOPICS☆2025年3月 プレアデス星団食と土星の環の消失

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2025.03.01

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プレアデス星団食

今月の注目天文イベント1つ目は「プレアデス星団食」です!
プレアデス星団とは、別名「すばる」とも呼ばれるおうし座に位置する星団です。肉眼でも6個ほどの星を見ることができるくらいに明るく、天体望遠鏡で見ると100〜200個ほどの星が集まっていることがわかります。
プレアデス星団を構成する星々は比較的若い恒星であり、青白い光を放っています。

そんなプレアデス星団を月が隠す現象が、今回注目の「プレアデス星団食」です!
3月5日22時頃から、西の空で月がプレアデス星団の星々を隠します。この時の月は月齢5.5であり、欠けた部分にプレアデス星団が重なり、星が徐々に消されていく様子を楽しむことができます。プレアデス星団は肉眼でもご覧いただける天体ですが、食の様子は天体望遠鏡を用いた観測が適しています。天体望遠鏡の倍率は月が視野いっぱいになる程度の倍率(30〜70倍程度)がおすすめです。

月もプレアデス星団(恒星)も地球が自転しているため東から西へと天球上を移動しますが、実は月と恒星では移動速度が異なります。それは、地球の自転に加えて月の公転が関係しているためです。地球の自転により、恒星は天球上を東から西へ1時間に約15度の速度で移動します。一方、月は東から西へ1時間に約15度移動するだけでなく、自身の公転により1時間に約0.5度の速度で西から東へ移動します。つまり、月は天球上を東から西へ1時間に約14.5度の速度で移動していることとなり、恒星とはその速度が異なるのです。このような理由から、プレアデス星団食のような月が恒星を隠す食が発生します。

プレアデス星団食が発生する22〜24時は、月の高度が低く、観測場所によっては食の様子を見ることが困難であるかもしれません。低い空まで見える見晴らしの良い場所での観測がおすすめです。

ぜひ天体望遠鏡を準備して、月とプレアデス星団の共演をお楽しみください!

(東京)

土星の環の消失

今月の注目天文イベント2つ目は「土星の環の消失」です!
土星は約30年の周期で太陽の周りを公転している「環」を持った惑星です。天体望遠鏡を用いて土星を見ると円盤状の環を観察することができますが、実は環が見えなくなってしまう時期が約15年に一度あるのです。

土星の環は氷の粒が集まってできており、太陽光を受けて光って見えます。そんな環は土星の軌道面から約26.7度傾いており、なんとその厚みは数十〜数百メートル程度しかありません。つまり、太陽や地球が土星の環の真横に位置するときは、その薄さゆえに環がほとんど見えなくなるということです。

太陽が土星の環の真横に位置するタイミングは、下図のように土星の一周期のうち二度発生します。土星の一周期は約30年なので、土星の環の消失は約15年に一度発生するということになります。なぜ二度しか発生しないのかというと、環が土星の軌道面に対して傾いているからです。太陽方向に土星の環が傾いていると、環の広い面に太陽光が当たりますが、約15年に一度の真横に位置するタイミングでは、太陽により照らされる部分が限りなく薄い環の側面部分のみとなるのです。そのため、地球からは、土星の環が消失したように見えます。

同様に、地球が土星の環の真横に位置するタイミングでも環の消失が発生します。土星の環の真横に位置するタイミングは太陽と地球でほとんど変わらないため、発生時期は同時期です。
また、軌道上で地球が土星を追い越すことにより起こる逆行(天球上で惑星の進む方向が逆になること)のため、再び地球が土星の環を真横から見るタイミングが訪れます。
つまり、約15年に一度の環の消失タイミングで三度の消失が見られることがあるということです。

土星の環の消失は太陽や地球が土星の環の真横に位置するとき以外にも発生します。それは、下図のように土星の環に対し太陽と地球が南北に分かれて位置する場合です。この場合、太陽に照らされている環の上面を地球からは見ることができず、環の消失が見られます。この時、土星上に環の影が一本の黒い線となって現れるため、普段と異なる模様の土星を見ることができます!

前回の土星の環の消失は2009年に起こり、今年2025年は約15年ぶりに再びこの現象が発生します!はじめの環の消失は3月24日であり、地球が土星の環を真横から見る位置になるために発生します。その後、5月7日までの間は土星の環に対し太陽と地球が南北に分かれるため、環の消失が続きます。さらに、5月7日には太陽が土星の環の真横から光を照らすことによる環の消失が発生します。そして、11月25日には土星の逆行によって再び地球が環を真横から見る位置となり、再び環が見えなくなります。

今年中に三度発生する天文イベントではありますが、天球上での土星の位置により観測に適さない場合もあります。3月24日の環の消失は、天球上での太陽と土星の位置が非常に近く、残念ながら観測は困難です。その後、少しずつ土星と太陽は離れていき、5月7日には明け方の東の空で観測することが可能です。そして、11月25日には日の入り〜0時ごろにかけて南西の空で輝き、最も適した条件で環のない土星を観測できそうです。
土星の姿が大きく変わる貴重な天文イベントです。ぜひ観測に挑戦してみてくださいね!

それでは、また来月の星空TOPICSでお会いしましょう!

参考:「すばる食(2025年3月)」国立天文台(https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2025/03-topics02.html
   「土星の環の消失」国立天文台(https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/CFC7C0B12FB4C4A4CEBEC3BCBA.html

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