星空認証スタンプラリー

二重星の中でもっとも人気のある星は？ 春の星座おおぐま座にある「ミザールとアルコル」を挙げる人もいることでしょう。この二重星は肉眼で区別することが出来る二重星の代表です。一方、肉眼では1つの星にしか見えない二重星のなかで、もっともポピュラーな二重星といえば、、、はくちょう座のβ星（その星座の中で2番目に明るい）「アルビレオ」ではないでしょうか？ 肉眼で見ると3等星に見えるこの星は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にも登場します。はくちょう座のくちばしに位置する星アルビレオは、はくちょう座の北十字の星の並びの先端に位置しており、その位置を見つけやすいので、望遠鏡を購入したら真っ先に向けてみたくなる天体の一つです。

天体望遠鏡を向けて、まずは低倍率で楽しみましょう。オレンジ色の3.1等星とエメラルド色の5.1等星が寄り添う姿を口径5cmの小口径望遠鏡でも確認することが出来ます。

夏と言えば、「天の川」の季節です。いて座やさそり座の方向、すなわち南に行くほど太く明るい天の川が、夏の大三角を通り過ぎ北天のカシオペヤ座まで伸びていることが分かります。天の川に向けて天体写真を撮るとところどころに赤く彩られた箇所（HII領域）が見つかります。そのうちもっとも明るく見える「散光星雲」（＝HII領域）の一つが、「干潟星雲（Ｍ８）」です。双眼鏡や低倍率の望遠鏡で、天の川を南天低くから天頂方向に向けてゆっくりと視野を移動させていくと、まずは、Ｍ7，Ｍ6の明るい散開星団、そして、M8、M20の2つの散光星雲が視野に飛び込んできます。

干潟星雲（M8）は、オリオン大星雲（M42）や南天のエータ・カリーナ星雲と並んで、肉眼でも確認することが出来るもっとも明るい散光星雲の一つであり、その星形成の様子はハッブル宇宙望遠鏡（HST）等の大型望遠鏡でも詳しく調べられています。M8のすぐ北にある「三裂星雲（M20）」は、星雲を横切る暗黒帯が、散光星雲の水素ガスを３つに引き裂いているように見かけ上は見えることから三裂星雲と名付けられました。

星座を形作る星ぼし＝恒星は太陽と同様に巨大な水素ガスのかたまりです。太陽は標準的なサイズの恒星の一つですが、地球の直径の109倍の直径、33万倍の質量を持ちそのほとんどが水素から出来ています。そして、多くの恒星はその誕生の際に集団で順々に出来て来ることが分かっています。誕生したばかりの星ぼしは多くの場合、散開星団として寄り添って見えています。どのようにしてそんな大量の水素が供給されるのでしょうか？それは、星の誕生の場が、散光星雲として見えているような巨大な水素ガス雲だと考えると納得がいくのではないでしょうか。このため、散光星雲の中や周囲には生まれたばかりの若い青白い星ぼしが数多く見えています。

こと座のβ星とγ線のほぼ真ん中あたりに「リング状星雲（M57）」があります。小型望遠鏡でも比較的簡単に見つかるのでぜひ見てみましょう。その構造まで見極めようとすると大口径望遠鏡が欲しくなりますが、単位面積当たりの輝度が高いため、お手持ちの望遠鏡でもリングを確認出来るかもしれません。惑星状星雲は太陽のような比較的軽めの恒星が死にゆく姿です。太陽の50億年後の姿とも言えましょう。

生まれてくる星があれば、死にゆく星もあります。年老いた星は「赤色巨星」（例えばオリオン座のα星ベテルギウスやさそり座のα星アンタレスなど）と呼ばれる段階を経たあと、太陽と同じぐらいのサイズの標準的な星ぼしは、「惑星状星雲」を形成し、その後、「白色矮星」となって一生を終えます。惑星状星雲は天体望遠鏡で楽しむことが出来る「宇宙の宝石」とも呼べる個性豊かな美しい天体たちですが、そもそもは、小型望遠鏡では、惑星と見間違えるぐらいのサイズ・形であったことがその名称の由来です。数多くの魅力的な惑星状星雲の中でももっとも有名な星雲の一つがこの、こと座のリング状星雲（M57、環状星雲またはリング星雲とも呼ばれる）です。