Celestron アポロ11号 55周年 月を観望して撮影してみよう!


地球から一番身近な天体というと、月や太陽を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?特に月は、肉眼でも簡単に見ることができます。
月は毎日見える時間が変わりますし、月齢により見え方も異なります。日本では中秋の名月など月を見る風習があり、昔から親しみ深い天体です。
また、昨年はアメリカNASAのApollo11号の打ち上げから55周年でもありました。
今回は、Apollo月着陸船の着陸地点を天体望遠鏡で観望するだけでなく、スマートフォンを使用して実際に月を撮影してみましょう。
Astro Fi5 SCT+25mm接眼レンズ+NexGO DX スマートフォンアダプター+iPhone15で撮影したApollo11号着陸地点、静かの海周辺。
画像処理は行っていません。
おすすめ天体望遠鏡はこれだ!
セレストロン社製の天体望遠鏡で手軽に月を観望できるのは、StarSense ExplorerシリーズやAstro Fi5 SCT、NexStar SEシリーズ、NexStar Evolutionシリーズですが、スマートフォンで撮影することを考えると自動導入・自動追尾ができるAstro Fi5 SCTやNexStar SEシリーズ、NexStar Evolutionシリーズがおすすめです。
簡単に月を観望できる!
おすすめのセレストロン社製天体望遠鏡
スマホで自動導入・自動追尾までかんたん!
おすすめのセレストロン社製天体望遠鏡
今回使用する機材は、Astro Fi5 SCTと25mm接眼レンズ、NexGO DX スマートフォンアダプター、iPhone15です。
Astro Fi5 SCTに付属の対物キャップはそのままスマートフォンアダプターになるのですが、iPhone15との接続やシャッターリモコン機能を考えて、NexGO DX スマートフォンアダプターを使用しています。
Astro Fi5 SCTに25mm接眼レンズを使用して、NexGO DX スマートフォンアダプターとiPhone15を接続しています。
重量のあるスマートフォンを取り付けると、ヒンジ部分が下がって調整に影響する可能性がありますが、このように角度を付けて取り付けることで影響を受けにくくなります。
Astro Fi5 SCTは制御のため、もう1台スマートフォンなどが必要になります。
Astro Fi5 SCTやNexStar SEシリーズなどの自動導入・自動追尾経緯台は、初期設定として、天体望遠鏡がどの星に向いているかを認識させるアライメントという作業が必要です。付属のNexStar+ハンドコントローラーやスマートフォンなどにインストールしたSkyPortalアプリで天体望遠鏡を操作します。詳しい天体望遠鏡の組立て方法やアライメント方法は下記のクイックマニュアルを参照してください。
NexStar EvolutionシリーズはNexStar+ハンドコントローラーとSkyPortalアプリ両方使用できますので、両方のクイックマニュアルを参照できます。
夕方で月しか見えていない場合のアライメントは、NexStar+ハンドコントローラー WEB専用経緯台用取扱説明書の目次から惑星アライメントをタップしてください。
もしくは、SkyPortalアプリ操作マニュアル(WEB専用)の目次から見える星が少ない時のアライメントをタップしてご参照ください。月だけでのアライメントが可能です。
アライメントが完了したら、付属の25mm接眼レンズを使用して月を導入してみましょう。
25mmの接眼レンズで見た月は月全体が視野の中に納まるくらいの倍率です。
次に10mmの接眼レンズに取り替えて覗いてみてください。冬場だと、月面がユラユラ揺れて見えるかもしれません。
これは強い寒気や偏西風の影響を受けた上空の空気の乱れが、天体望遠鏡の倍率を上げることで大きくなってしまうから。
特に冬型の気圧配置の時はブレが大きくなりますので、その時は倍率を低くして覗いてください。
そんな時におすすめなのがセレストロン製ズームアイピース 8-24mmです。
接眼レンズを取り替えなくても、接眼レンズを回すことで接眼レンズの焦点距離を変えることができ、簡単に倍率を変更することができます。
月の全景から拡大したクレーターまで見ることができます。
また、Astro Fi5 SCTはシュミットカセグレン光学系を採用しており、対物面に補正板があるので、筒の中の温かい空気が外気温に馴染むまでユラユラと陽炎のように見えることがあります。
これは筒内気流といわれ、観望の30分~1時間前に天体望遠鏡を外に出しておくことである程度防ぐことができます。
Astro Fi5 SCTに25mm接眼レンズを使用して、NexGO DX スマートフォンアダプターとiPhone15を接続して動画撮影しています。
自動追尾をOFFにした時の月の動きも動画で撮影しています。
Apollo着陸地点を見てみよう!
天体望遠鏡の準備ができたから、さっそくApollo月着陸地点を見てみよう…と思ったけど、着陸地点ってどこ?と思われるでしょう。
ビクセンではスマートフォンやタブレットで使用できる無料のMoon Bookというアプリがあります。
Apollo11号
着陸地点 静かの海
1969年7月16日、ニール・アームストロング船長、マイケル・コリンズ司令船操縦士、バズ・オルドリン着陸船操縦士を乗せたサターン5型ロケットがケネディ宇宙センターから打ち上げられました。
月着陸地点が静かの海になります。
1969年7月20日20時17分にApollo月着陸船 イーグル号を月に着陸させ、アームストロング船長は7月21日の2時56分15秒に月面に降り立った最初の人物となりました。
その19分後にオルドリン月着陸船操縦士がアームストロング船長に続きました。
月の地面を踏みしめた最初の一歩はどんな気持ちだったのかと思いをはせながら静かの海を天体望遠鏡で覗いてみてください。
静かの海は月にある表面の海の一つで、873kmにもおよぶ大きさです。
日本で伝統的に見立てられている、月で餅つきしているウサギの模様でいうと、顔の部分にあたります。
Apollo12号
着陸地点 嵐の大洋
1969年11月14日、ピート・コンラッド船長、リチャード・ゴードン司令船操縦士、アラン・ビーン着陸船操縦士を乗せたサターン5型ロケットがケネディ宇宙センターから打ち上げられました。
ピート・コンラッド船長とアラン・ビーン着陸船操縦士は31時間にわたって月面で船外活動を行いました。
この飛行ではアポロ計画で初めてカラーのテレビカメラが携行されましたが、アラン・ビーン着陸船操縦士が誤って太陽にレンズを向けたために機器が故障し、中継は失敗したという逸話が残っています。
Apollo14号
着陸地点 フラ・マウロ丘陵
1971年1月31日、アラン・シェパード船長、スチュアート・ルーサ司令船操縦士、エドガー・ミッチェル着陸船操縦士を乗せたサターン5型ロケットがケネディ宇宙センターから打ち上げられました。
アラン・シェパード船長とエドガー・ミッチェル着陸船操縦士は2月5日、フラ・マウロ丘陵に着陸し、9.5時間の2回にわたる船外活動では42kgの岩石が採集され、地震の観測などを含むいくつかの科学実験が行われました。
実験とは関係ありませんが、アラン・シェパード船長はゴルフクラブを密かに持っていき、月面でゴルフボールを2球打ったそうです。180~370m程度の飛距離であったとか…。
Apollo15号
着陸地点 ハドリー・アペニン
1971年7月26日、デイヴィッド・スコット船長、アルフレッド・ウォーデン司令船操縦士、ジェームズ・アーウィン着陸船操縦士を乗せたサターン5型ロケットがケネディ宇宙センターから打ち上げられました。
アポロ15号は初めて月面車を使用して、広範囲の月面探査を行いました。デイヴィッド・スコット船長とジェームズ・アーウィン着陸船操縦士は月面で3日間、18時間以上の船外活動を行っています。
エンデバー司令船のアルフレッド・ウォーデン司令船操縦士は月上空を周回しながら、機械船の科学機器搭載区画に収納されているいくつかの機器を使用して月の詳細な探査を行っています。さらに、最終段階ではアポロ計画で初となる小型衛星の放出を行いました。
Apollo16号
着陸地点 デカルト高地
1972年4月16日、ジョン・ヤング船長、ケン・マッティングリー司令船操縦士、チャールズ・デューク着陸船操縦士を乗せたサターン5型ロケットがケネディ宇宙センターから打ち上げられました。
ジョン・ヤング船長とチャールズ・デューク着陸船操縦士は月面でほぼ3日間、20時間におよぶ3度の船外活動を行いました。また、今回で2回目となる月面車で、地球に持ち帰るために月面で95.8kgのサンプルを採集しました。
宇宙空間で機械船から観測用の小型衛星を放出したのですが、地球への帰還途中、ケン・マッティングリー司令船操縦士は機械船からフィルムカセットを回収するために1時間の船外活動を行いました。
Apollo17号
着陸地点 タウルス・リットロウ溪谷
1972年12月19日、ユージン・サーナン船長、ロナルド・エヴァンス司令船操縦士、ハリソン・シュミット着陸船操縦士を乗せたサターン5型ロケットがケネディ宇宙センターから打ち上げられました。
3日間の月面滞在の間に月面車を使用して広範な科学的探査を行い、ユージン・サーナン船長とハリソン・シュミット着陸船操縦士はタウルス・リットロウ渓谷で3度の船外活動を行い、サンプルを採集し、アポロ月面実験装置群を設置しました。
タウルス・リットロウ渓谷への着陸は、比較的新しい火山活動が周辺であった可能性について調査することなどの目的で決定されました。
Apollo着陸地点を撮影してみよう!
NeGO DXスマホアダプターと25mm接眼レンズ、iPhone15の取付け後、Astro Fi5 SCTに接続します。
この方法はコリメートと呼ばれますが、黒い影のようなものが画像の周りに広がってしまいます。これをケラレといいます。ケラレの位置を微調整し、画面の中央にきれいな月が表示されるようになったら、ピントの調整を行います。
昼間に風景を利用してこの流れを覚えると、月の導入からピント調整までスムーズに行うことができます。上記の着陸地点の画像を確認しながら実際に着陸地点を撮影してみてください。
接続方法の動画を参照して、Astro Fi5 SCTと接眼レンズ、iPhone15の取付け、ピント調整方法を学んでみましょう。
月面のクレーターなどを撮影してみよう!
Apollo月着陸地点の撮影ができたら、次は月のクレーターなども撮影してみましょう。
Moon Bookでは月の地名やクレーター名も表示できますので、気になった地形やクレーターを撮影してみてください。
コペルニクス・クレーター
コペルニクス・クレーターは直径93km、深さ3.8kmある月面で良く目立つクレーターです。
そのコペルニクス・クレーターから伸びているように見えるアペニン山脈は全長600kmもある月の北側に位置する険しい山地です。
Apollo15号の着陸地点、ハドリー山も含まれます。
ジャンサン・クレーター
ジャンサン・クレーターは月南東の端にあり、いくつもの衝突クレーターが連なっている場所です。
直径は201km、深さは2.9kmあります。
フランスの天文学者、ピエール・ジャンサンの名前に因んで名付けられました。
ティコ・クレーター
ティコ・クレーターは月の南部にある直径85km、深さ4.8kmのクレーターです。
周辺は大小のクレーターで覆われています。
NASAのサーベイヤー7号の着陸地点やルナオービター5号によって詳細な画像が撮影されています。
プトレマイオス・クレーター
プトレマイオス・クレーターは月の中央部にある直径154km、深さ2.4kmのクレーターです。プトレマイオスの南には、アルフォンスス・クレーター(直径110km、深さ2.7km)、アルザッケル・クレーター(直径97km、深さ3.6km)が並びます。
フラカストリウス・クレーター
フラカストリウス・クレーターは月の神酒の海にある直径124kmあるクレーターです。
神酒の海が形成された時に溶岩が流れ込み、馬蹄形のクレーターを形成したと考えられています。
月面画像の画像処理を行ってみよう!
月面の名所やクレーターの撮影に慣れたら、次は天体画像用の処理ソフトやアプリケーションを使用して画像を処理してみてください。
無料のものから有料のものまで数多くあるので、自分に合った方法で撮影した画像を処理してみましょう。
元画像
画像処理後
レベル調整やマルチバンド・シャープなどの簡単な画像処理だけでもこれだけ画像が変化します。ぜひ画像処理に挑戦してみてください。
この画像処理にはアストロアーツ社製ステライメージ9を使用しています。
スマートフォンの動画撮影で月面を写してみよう!
iPhone15のカメラアプリから写真モードをビデオモードに切り替えてみましょう。写真と違って空気のブレの影響も動画で撮影できるので臨場感も楽しめます。
月面の動画撮影でもピンチアウトして月面の拡大ができます。気になった地形やクレーターなどは拡大してビデオ録画してみてください。
月齢をコンプリートしよう!
月は29.5日周期で月面の見え方が変化します。月の出はおよそ50分ずつ出の時刻が遅くなります。月齢1や2は太陽に近いため、夕方の西の低空でしか撮影できません。
また、月齢28や29は薄明のなか東の低空でしか撮影できないため、月齢1から29までを全て撮影するのは難しいです。ぜひコンプリートしてみてください。
Point!
このApollo11号55周年を企画した担当者も、まだコンプリートできていないんだって!


1
NexStar 5SE+キヤノンM10直焦点撮影
2
モバイルポルタC90 Mak+キヤノンM10直焦点撮影
3
Astro Fi5+25mm接眼レンズ+iPhone15+NexGO DX スマートフォンアダプター(月面画像・ビデオ映像)
4
CPC800HD+キヤノンM10直焦点撮影2枚モザイク合成
月マンホールを探してみよう!
ビクセン本社のある所沢市では、マンホール蓋に広告を出してみませんか?という取組みを行っています。
ビクセンでも所沢駅東口と東所沢駅に月のマンホール蓋を設置しています。
西武鉄道 所沢駅東口

JR武蔵野線 東所沢駅

月齢をコンプリートしよう!の月齢15の満月画像が使用されています。
お近くにお越しの際はぜひ見つけてみてください。また、ビクセンのショールームでは、ご来場いただいた方にマンホールコースターをプレゼントしています。ぜひお越しください。