日本美術と比べて、西洋美術を鑑賞する際には、単眼鏡を必要とする場面は、実はあまりありません。
西洋美術の展覧会に関して、「単眼鏡があって良かったなァ」と実感したのは、フェルメール作品が出展されていた展覧会で絵の前の混雑を尻目に離れたところからゆったりと鑑賞できたときなど、限られています。 あとは、ゴッホの激しい筆致をグッと近づいて観てみたい、とか、スーラやシニャックといった新印象派の画家たちの点描作品をもっと間近で観てみたい、とか、ややマニアックな鑑賞をしたいときに必要性を感じるくらいでしょうか。
しかし、海外で西洋美術を鑑賞するとなると、単眼鏡の必要性はグンと増すこととなります。
例えば、フランスの美の殿堂・ルーブル美術館。 日本に運んでくるのがほとんど不可能な巨大な作品が多数展示されています。サイズが一番大きな《カナの婚礼》(ヴェロネーゼ作)は、横約10m、高さは約6.8m。絵の上部を鑑賞するには、単眼鏡があるに越したことはありません。 また、ルーブル美術館に限らず、世界の主要美術館では、日本の美術館ではなかなかお目にかかれない2段掛けスタイルでの展示が当たり前。高い位置に飾ってある絵を観るには、やはり単眼鏡がベター。ストレスなく鑑賞できます。
海外旅行先で西洋美術を観られる場所は、美術館だけに限りません。
歴史ある教会の内部にも、西洋美術の巨匠が手掛けた名品が飾られていることがあります。 いわゆる、祭壇画です。 宗教的題材を描いた絵 (もしくはレリーフ)で、教会の祭壇背後の枠の中に取り付けられています。 荘厳さを表すため、巨大なものが多い祭壇画。さらに、それらの祭壇画が、通常美術館で展示されているよりも高い位置に飾られているので、単眼鏡があったほうがベターです。
ちなみに、『フランダースの犬』でネロ少年がどうしても観たかったのが、アントワープ大聖堂に飾られている巨匠ルーベンスの三連祭壇画。 ネロが最期に観たのはそのうちの1枚《キリストの降架》。高さは、実に約4.2m。単眼鏡があれば、もっとよく観られたのでしょうに。
また教会の天井に目を向けると、美しい天井画が描かれていることがあります。よほど低い天井でしたら、肉眼でも鑑賞できましょうが。そんな教会はそうそうありません。えてして教会の天井は高いものです。
もっとも有名な天井画は、やはりバチカン宮殿内にあるシスティーナ礼拝堂でしょうか。
描いたのは《ダビデ像》が有名なルネサンスの巨匠・ミケランジェロ。父なる神がアダムに生命を吹き込むべく、指と指を近づける有名な図像(映画『E.T.』のあのシーンのモデルとも)もこの天井画の一部です。 床から天井までの高さは約20m。身長が2mを超えたとしても、18mは離れています。近づきたくても近づけない天井画。そのもどかしさを、単眼鏡が解決してくれます。
西洋美術に関しては手に取るように近くで観たいというものは多くないので、遠くも観られる6倍の単眼鏡がオススメです。
西洋美術に関しては手に取るように近くで観たいというものは多くないので、遠くも観られる6倍の単眼鏡がオススメです。