小さなコケの世界を旅しよう

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コケのからだ

コケ植物(蘚苔類)は蘚類・苔類・ツノゴケ類に分けられます(コケ観察ガイドでは蘚類とコケ類のみを取り上げています)。 いずれも水を吸い上げる根と植物体に水を運ぶ維管束を持ちません。全身で吸水し、光合成を行います。 コケの形状は、茎と葉が分かれる「茎葉体」タイプと分かれない「葉状体」タイプに大別されます。 「茎葉体」は直立または匍匐し、多くの蘚類・苔類がこのタイプに属します。 「葉状体」は平たく、地面や基部に張りつきます。 このタイプは苔類のみに限られます。これらの植物体は、いずれも吸水機能を持たない「仮根(かこん)」によって基物に着生しています。植物体は単相(n)の「配偶体」と、複相(2n)の「胞子体」からなっています。


  • 蘚類

    蘚類(せんるい)

    全体に乾いた硬い感じで、しっかりと地上に根付いている印象があります。葉は茎に対し、主に螺旋状に配列されています。 多くは葉に中肋と呼ばれる脈を持っています。胞子体の蒴には蓋および蒴歯があります。また蒴の上に帽を持ちますが、古くなると脱落します。蒴の形状は多様で、蒴内に多数の胞子が形成されます。成熟すると蓋が外れ、蒴歯が開いて胞子が散布されます。 蒴の寿命は長く、柄は丈夫。ひとつの胞子が糸状の原糸体に発達し、分裂を繰り返して芽が形成され、そこから多数の配偶体が生じます。世界に約13,000種、日本には約1,100種が知られています。

  • コケ類

    苔類(たいるい)

    全体に柔らかい感じで、脆い印象があります。茎葉体と葉状体の2つのタイプがあり、一般にはゼニゴケに代表される葉状体タイプが広く知られています。細胞内に油滴状の構造(油体)を持つものが多く、蒴の形状は球体もしくは円筒形です。蒴歯は持っていません。蒴は熟すと4つに裂けて胞子を散布します。蒴内には胞子を弾き飛ばす役目を持つ糸状のバネ構造(弾糸)が形成されます。胞子体は短命で、柄も弱々しく、胞子の散布後はすぐに萎びて腐ってしまいます。原糸体は塊状で、ひとつの胞子からひとつの配偶体しかできません。世界に約5,000種、日本には約600種が知られています。

写真協力:
奥入瀬自然観光資源研究会(おいけん)

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